社会システム論

「社会」という概念は難しくて,授業でいつも上手く教えられないもどかしさがあるのだけれども,それはやっぱり自分自身つかみ切れていないことの反映なのだろう.ただ,今日はしゃべっていてパーソンズの「社会システム論」については分かったー,という瞬間があったのが収穫.単に事象を構造的に捉えるというだけなら唯物史観と違いなく,特定の領域(経済とか技術とか)に還元しないという点も併さって,システム論はシステム論たりうるわけだ.パーソンズを援用したベラーの『徳川時代の宗教』は経済決定論に対して文化的要因を代置した議論としばしば見なされるが(実際彼のその後の仕事からすると不当な評価ではないが),ポイントは,経済か文化かという二者択一にあるのではなく,「社会」を非還元論的に捉えることの派生として文化性が析出されるというところにあるのだろう.

徳川時代の宗教 (岩波文庫)

徳川時代の宗教 (岩波文庫)