梅田望夫『ウェブ進化論』
グーグル的世界観の啓蒙書とでもいうべき本.先月来,はてなを使って6年ぶりの個人サイトを始めたわけだが,その空白期間を実感.2,3感想をメモ.
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/02/07
- メディア: 新書
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(以下感想)
・SF的な未来を語っているわりには実はたった10年先の話だったりで,そこが一番衝撃的.
・試行錯誤それ自体は悪いことじゃないけど,その錯誤の犠牲があまりに大きいとしたら(例えば戦争とか),という疑問もあり.デモクラシーは外交には一番不向きな政治だとトクヴィルは言ったけど,大きな犠牲を払ってもその価値のある進歩が得られる,という考え方だとしたら,著者のいう「神の視点」はなんと非人間的なものか.
・途上国の多くが植民地化された経験をもつわけだが,かつてそれは低開発や貧富の格差,民族対立の原因として負の遺産視されることが多かった.けれども,近年では香港やシンガポールはもとより,インドや南アフリカなどで英語が話せる利点をいかして世界市場で活躍する人材が多く輩出されるようになっている.チープ革命(無料に近い低コストで膨大な情報と高度な技術が利用できるようになること)とアドセンス(サイト別に自動的に最適な広告を出す仕組み)はそうした帝国の遺産の価値をさらに高めることになるかもしれない.旧宗主国イギリスではニール・ファーガソンISBN:0141007540歴史家が帝国支配は従属地域の人々を総体として幸せにしたと断じているが,将来,旧植民地の方でもそうしたリビジョンが進むかも.さて,日本の場合はどうか.