冥途の飛脚がよい

senzan2008-02-18

 先日、文楽の『冥途の飛脚』を見てきました。近松による抜群の人物造形、ドラマティックな場面設定、真に迫る義太夫語りなど、ためいきしきりでした。とりわけ自己満足から破滅型逃避にいたる忠兵衛の行動のもつ絶望的な実在感!
 ところで、『冥途の飛脚』の英題は”Courier from Hell”といいます。このタイトルの妙は”from”でしょう。江戸から届いた公金に手を付け、官憲から追われる身になった忠兵衛・梅川の末路をよく暗示しています。又聞きの話ですが、中国から来たある留学生はこのタイトルを「メイドの飛び蹴り」と解したとかなんとか。これではすっかり萌え系ツンデレ話です。