感謝祭

 ここ10日ほどどたばたがあって,すっかりネットから遠のいておりましたが,みなさんいかがおすごしですか.こちらはなかなかタフな日が続いて身の細る思いでしたが,でも体重は減っていません.そんなわけで最近の出来事を書き留めておきます.

 10日ほどまえに新居に引っ越したのですが,程なくして大家とトラブって退去することに.まさか深夜11時に路頭に迷う羽目になるとは,渡航前からある程度の苦労は覚悟していましたが,これは予想を上回る展開.それで仕方なく先日まで滞在していたマンスリーマンションへ舞い戻ってチェックイン.「ここの仕組みはこれこれで」とのスタッフの説明を遮って「お前は俺のことを知っているだろう.説明はいらん」と言うと,「おう,知ってる.何しに戻ってきた」とニヤニヤされた.これが火曜の話.それから家探しと法的手段の検討ですよ.正当な理由もなく退去させられるのは不当であり,かりに瑕疵があっても退去までは10日間の猶予が与えられるのだから,即日退去は不当である,というようなことを調べた上で,住宅局の調停か簡易裁判所での解決かという選択を検討したのだけれど,ロースクールの無料相談所で話を聞くと,「手間に見合うだけの見返りがないんじゃない?」と.実際家賃と敷金の全額は返ってきているのだけど,正義はどうなるんですか? おさまらない腹の虫を抱えつつ,幸い金曜には新居を見つけることができたので,土曜に引っ越し.マンスリーマンションから出るときに馴染みのスタッフが「またな(笑)」って,「またな」じゃねーよ(でもお世話になりました).しかし,不幸はそこで終わることはなく,今度は自転車のペダルが突然ガシャンと外れたではありませんか.確かに中古の自転車だからどこかしら欠点はあるでしょうが,ペダルないと自転車の存在意義がないでしょう.このへんでカナダ人に対する不信感がかなり高いレベルに.これが失意の土曜.けれども,捨てる神ありゃ,拾う神ありというのが多神教のよいところ.この週末は感謝祭だったのだけど,家探しがいつまで続くか分からないなどの不確定要因もあって,誰とも約束を入れていなかったのだけど,土曜になって教授からパーティーへのお招きにあずかったので喜んで出席.彼とは東京の学会で知り合った縁でこちらでもよくしてくれるのだけど,訪ねてみると学校関係者は自分一人で他は親戚や友人ばかり.教授は中国系で,両親は文革の時期にカナダに移住してきたひとたちで,案の定,日本の新首相などにも話題が及んだのだけど当方には説明責任はありませんから.それにしても教授がA.フランクばりの中国論をぶったのにはやや面食らった.釣りですか.あと招待された以上日本酒のいいのでも持参せねばと思って慌てて当日朝から探したけれど,山岡士郎の薫陶を受けた身としてはこれはひどいSakeしかなかったので,結局かなり奮発していいシャンパンを買ったのだけど,みなさん学生飲みで,一体お幾つですか.こんなのならもっと安酒でよかった.これが日曜.で,翌日も祝日だったのだけど,今度は新しい大家の感謝祭のパーティーに呼ばれて,二日連続で深酒ですよ.大家の奥さんはハンガリー出身で50年代末にソ連が軍事介入したときに幼くしてカナダに移住したという来歴の方で,二日連続で共産圏からの脱出組の話を身近に聞いた次第.他に旦那さんのお兄さんと,従姉妹,それから大家さんちの一人息子の計6人の小さな集まりで,みな気さくで方ばかり,アパートでウォータープールベッドの水を抜いたら階下へ階下へと次々に水漏れしたというお兄さんのエピソードには抱腹した.それに対する彼の「管理人さんが水を抜いていいよ,っていってたんだけどなー」という言い訳(?)も最高だった.そんなわけで感謝祭の故事を地でいくような10日間なのでした.