ブックオフ再考

senzan2007-02-10

 東部行きの準備でダウンタウンに行ったついでにブックオフで物色。年末と先月末の二度にわたって拡張工事をしたせいで、日本と比べてもまったく遜色のない品揃えになっていた。マンガと文庫に関しては下手な郊外型チェーン書店よりはるかに充実しているかもしれない。よほど景気がいいらしい。それもそのはず、よくよく考えてみるとこの商売儲からないはずがない。思うに、この街には数ヶ月から1年程度の比較的短期滞在の若者(語学留学やワーホリ)が多いので、彼/彼女らが帰国時に処分した本(よほどでなければ嵩張るマンガを持ち帰ったりはしないはず)を買い取ることで継続的に新古本を補充できるようになっているのだろう。構造的な入超状態。仕入れそれ自体を消費者にやらせているのだから、リスクも在庫管理くらいしかないだろう。しかも事実上の市場独占者。知っている限り、ダウンタウンのソフィア書店とリッチモンドの岩瀬書店というところが和書取り扱いの古株なのだけれど、もう競争になっていない。前者は「洋書屋」で、レグルスやミニュイと同じ扱いで若干の和書(も、こっちでは「洋書」になる)がある程度。しかも極端に偏向した仕入れで、『CanCam』と『Newtype』なんかが中心。つまりエビちゃんをチェックする日本女性とカナダのギーク(オタク)に客層をしぼった専門店。後者は懐かしいタイプの地方の独立系中規模書店といった趣で、品揃えは雑誌、マンガ、文庫、ハードカバー、学参などまんべんなくあるのだけれど、いかんせん価格が日本の3〜4倍する。仕入れを自前でやろうとすると流通コストを商品に反映させざるをえないのは分かるけど、さすがに3000円も出して新潮文庫を買う気にはなれない。それでも榮倉奈々表紙の『SEVENTEEN』が何十冊も平積みされていたから、駐在員の娘さんあたりにとってはなお御用達なんだろうか。いずれにしても、新しいビジネスモデルをひっさげて拡大路線をとるブックオフを前にして、老舗も経営戦略の見直しを迫られているのではないだろうか。また、このことは視点を変えていえば、同様の条件下(留学生の持続的な流入・帰国にともなう新古本の低コスト仕入れ構造)にある中国人や韓国人を相手にしたブックオフ新古本屋が北米で成功する可能性を示唆しているように思われる。ちなみに、今回買ったのは山田風太郎の明治物と小川洋子博士の愛した数式』、雁屋哲花咲アキラ美味しんぼ』97巻でした。(2/11/2007記)