砲台と灯台

senzan2007-03-02

 大学は半島の突端にあって、港の入り口を見晴らす絶景の地にあります(ポイント・グレイといいます)。そのため太平洋戦争中には港湾部を防衛するために地域最大の砲台基地がありました。基地の跡地には現在人類学博物館が建っています。面白いのは、その時の砲座をそのまま巨大な木彫作品の基部に転用しているところです。砲台の上に被せるように博物館を建てたわけです。その作品とは、以前も紹介したビル・リードのレイブン像です。日本軍を迎撃するための砲座の上に先住民の人類誕生神話を象った塑造があるというのは、シュールな出会いでもあり、また似つかわしくもあるような気がします。
 『レイブンと最初の人類』 - rftS
 この博物館のある場所から海岸まではほぼ垂直に切り立った断崖があるんですが、波打ち際まではトレッキング用に設置された木製の階段を使って降りていくことができます。足場の悪い浜辺(レック・ビーチといいます)をしばらく歩いていくと、『猿の惑星』のチャルートン・ヘストンが砂浜で遭遇した「あれ」よろしく、砲台と連係して敵艦影を照らし出す灯台(サーチライト小屋)に不意に出くわします(画像ではちょっと分かりにくいですが、中央右手の構造物)。一応史跡として保存されているのでしょうが、全体的に落書きされていて(グラフィティ?)、往事とは対照的なその彩色は平和の証しでもあります。メジャーな観光ポイントではありませんが、歴史好きには興味深い場所、そして翌日は案の定筋肉痛(どんなだけなまくらやねん)。