鉄棒から飛んでいく子どもを見て

 子どもが鉄棒で前回りができるというのでやらせてみたら、飛んでいってしまいました。
 いつもは足のつく鉄棒でやっているらしいのですが、大人の肩くらいの高さの鉄棒でやらせてみたら、回転したはずみにそのまま顔から地面に落ちてしまいました。
 当然、号泣。額にすりきず。ええ、傍観していた私が悪いんです。ごめんよ、息子。
 事故の背景には意思の疎通における齟齬がありました。彼がいつも遊んでいる鉄棒は足のつく小型のもので、今回の場合はお父さんが補助をしてくれると思っていました。これに対して私は、彼から前回りができるという自慢話を聞かされていたし、よもや手を離すとは思っていませんでした。
 しかし、子どもは鉄棒から手を離すんですね!
 たぶん自分の体重を小さな腕では支えきれなかったのでしょう。回転した勢いもあって、鉄棒から手が外れてしまったようです。実際、後で聞いたら「僕は手を離してない」と主張していました。そこまで考えがまわらなかった自分の浅はかさを責めました。鉄棒から手を離したあと、目の前の地面にむかって顔から突っ込んでいく彼の恐怖感を想像すると、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
 幸いけがの程度は軽く、公園から家まで負ぶって帰った後は普段通りでした。易興奮性的なところもありましたが、脳しんとうというよりは、きっと彼のキャラクターでしょう。
 頭を強打すると頭がおかしくなることがあるという話を台所で彼にしたら、茶筒やコンロを指しながら「あれが馬で、これがキリンとか言い出したら、やばい?」と言って親を安心させてくれました。