フーバー大統領

 日経平均もいよいよ8000円前半になってしまい、アメリカでも金融機関への公的資金の投入の是非がいよいよ本格的に議論されているようですね。これまでさんざん政府による市場介入を批判し、企業の自由な活動を支持してきただけに、政治家も国民も公的資金の投入とそれにともなう国家管理には消極的なようです。公的資金を投入して抜本的な解決をはからなければ、ウォール街だけでなく、結局は国民一人一人の生活まで悪くなるとは承知していても、これまでの原則を自己否定するのには躊躇いがあるのでしょう。進むも地獄、退くも地獄という感じでしょうか。
 こうしたニュースを見ていると、大恐慌時に合衆国大統領だったハーバート・フーバーについてきちんと勉強しておく必要性を感じてきます。大恐慌時に効果的な対策をうたずに事態を悪化させ、世界大戦の遠因を作ったひととして批判されがちなフーバーですが、実際のところ、彼はどんな人物だったのでしょうか。
 日本史畑の人間にとってフーバーといえば、スタンフォード大学のフーバー研究所の創設者として知られます。フーバー研究所は現代史資料の宝庫で、ホーンベックやスティルウェル、朝鮮総督府荒木貞夫平沼騏一郎などの文書があります。最近では蒋介石日記の公開が話題になりました。
 歴史家にとってフーバーは研究対象となる世界を動かした人物の一人であるとともに、研究そのものを可能にしてくれる文書館の創設者でもあるわけです。