5月文楽「ひらがな盛衰記」

先日、三宅坂国立劇場に5月文楽を見に行きました。
演目は『ひらがな盛衰記』二段目、四段目の半通し。切り場の神崎揚屋の段の語りは豊竹嶋太夫、三味線は豊澤富助、人形役割の源太は吉田和生、千鳥・梅ヶ枝は桐竹勘十郎です。
源平盛衰記』を下書きにしてはいますが、物語は歴史的な攻防とは関係なく、前半は武士の立場と母子の情愛が絡む話で、後半は生活能力のない男に金を貢ぐ女の話です。圧巻は、カネが欲しい、カネが欲しいといって半狂乱になる傾城梅ヶ枝が、来世の地獄と引き換えに現在の大金を願って「無間の鐘」をつくシーン。最初は声の通りに不安もあった嶋太夫も、このシーンでは聞かせます。人形をつかう勘十郎は鬼気迫るものがありました。
チャリ場の辻法印の段では吉本新喜劇風の掛け合いがあって、愉快。
源太勘当の段の千歳大夫もよかったです。
ところで、その日は半蔵門のイタリアンのお店でお昼を食べました。国立劇場に来るときにはいつもその店で食べるんですが、今回ようやく顔を覚えてもらいました。