「サンタクロースなんていないし」

幼稚園ママの付き合い方は友達感覚です。
そのことを痛感させられたのが、ある幼稚園ママがうちの子どもに対して発した一言です。ここでは彼女の発言そのものは引用しません。たとえで表現するなら、「サンタクロースなんていないし」と同種の発言です。彼女は、子どもの他愛のない夢や勘違いであっても、後々その子が現実を知ったときに傷つくとよくないからという善意(?)の動機から、6歳の子ども相手にその種の発言をしました。
私は彼女のそうした振る舞いに、幼稚園ママにあるような、他人の子どもや家庭に対する気軽さ、遠慮のなさ、友達感覚のようなものを感じました。幼稚園ママのもつ友達感覚を表すいくつかの特徴を挙げてみましょう。
・買い物や子どもの送り迎えくらいでは、よそいきの化粧や格好はしない(近所は家の延長)。
・そこでママ同士が出会うと、ため口で長々とおしゃべりに興じる(友達感覚)。
・その内容はテレビに出てくる若い男の子のことや旦那の悪口(保育園ママの関係が顧客同士なのとは違う)。
・お互いの子どもや家庭のことにも口を出す(互いの家に子ども連れで遊びに行くので、垣根が低い)。
私と妻は、今でも初対面の成人からため口(同輩者に対する敬語のない言葉遣い)を使われると、戸惑ってしまいます。保育園ママからため口を使われたことは長期の付き合いにもかかわらずほんの1,2例でしたが、幼稚園ママからは初対面でもため口がしょっちゅうです。逆に幼稚園ママからすると、ママ・パパ同士のあいだで丁寧な言葉を遣うのは他人行儀と思うのかもしれません。幼稚園ママと保育園ママとの行動様式の違いについては、昨日のエントリーで述べたとおりです。
http://d.hatena.ne.jp/senzan/20090527
もちろん、こうした「サンタクロースなんていないし」的発言はその彼女自身のキャラクターのなせるわざかもしれません。幼稚園ママ一般の特徴というのは単純すぎるでしょう。けれども、幼稚園ママ的な関係性には、こうした発言を抑制するような仕組みが欠けているのも確かでしょう。それは一面でフレンドリーであり、他面で不躾な関係性です。
それでは、こうした幼稚園ママとの付き合いを敬遠すべきなのでしょうか。私は、件の「サンタクロース」的発言は度を越しているとは思いますが、一概に彼女たちとの交際を避けるべきだとは思いません。異文化体験に当惑し、ときにはストレスも感じますが、敬意をもって付き合っていくことが望ましいことは承知しています。実際、PTAやスポーツ少年団などで中核的な運営を果たしているのはこうした幼稚園ママたちです。彼女たちには時間的な余裕があり、根回しに有利な母親同士のコネがあり、子どもの発達段階に関する経験値があります。たぶん幼稚園ママからすると、共働きの家庭はこうした活動にフリーライド(ただ乗り)しているように見えるはずです。
加齢とともに異文化に対する適応力は低下しがちです。しかし、子はかすがいがといとも言います。子どもがあればこそ、新しい世界に対しても挑戦してみようという意志が生まれてきます。