2月文楽「女殺油地獄」

今年の2月には文楽女殺油地獄」を見ました。
作者はいわずと知れた近松門左衛門。今回の内容は、徳庵堤の段、河内屋内の段、豊島屋油店の段です。最後の段の語りは豊竹咲大夫、三味線は鶴澤燕三、人形遣いでお吉は桐竹紋寿、与兵衛は桐竹勘十郎です。
油屋の息子与兵衛は放蕩三昧で生活を改めようとしません。両親は彼の改心を祈念してあえて勘当しますが、親の心、子知らずで、同業の豊島屋の女房・お吉にまで金の無心に出かけます。世話物の主人公がダメ男なのはデフォルトですが、それに輪をかけてダメなのがこの与兵衛。昔から姉とも慕うお吉を油まみれになりながら背中から襲うという展開は、話の筋は知っていても、度肝を抜かれます。
三浦しおんは、「年下の男を挑発する人妻」たるお吉が与兵衛を凶行に走らせた、と解釈していますが、これも肯けます。
勘十郎の人形は静動いずれも隙がなく、動でもぶれず、静でも目が離せません。
2月には国立劇場裏手の資料館で淡路人形の展示紹介もやっていました。

新編日本古典文学全集 (74) 近松門左衛門集 (1)

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あやつられ文楽鑑賞

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