震災時の学校の対応

先週、3月11日に東北地方の太平洋岸で大きな地震が発生し、津波が多くの人たちの命を奪うという災害がありました。地震があったのは昼の2時50分ごろで、子どもたちはまだ学校にいる時間でした。1年半ぶりのブログ更新となりましたが、その時の学校の対応についてメモしておきます。

◆ケース1 先生の引率による一斉下校
私の子どもが通っているのは埼玉県さいたま市の公立小学校です。学年は2年生で、あと2週間で3学期も終わるという日の出来事でした。大規模な災害があると、校庭でクラスごとに整列し、保護者が迎えに来るのを待機するというのが、こういう非常時の予定対応でした。けれども、今回は子どもたちを地域別に班編成させ、一斉下校するという対応がとられました。
学校から理由は聞いていないので正確には分かりませんが、今回の災害の程度では学校で待機させる必要はないと判断されたからかもしれません。さいたま市では震度5強で、この近辺では目立った被害はありませんでした。
また、当日はたまたま一斉下校させる予定の日だった、というのもあるかもしれません。個別に帰宅させるよりも不安は少ないですし、予定と異なる対応をとった方が保護者が混乱していたかもしれません。先生方も方面ごとに引率され、また少なくない保護者の方が自主的に迎えに来ていたので、帰宅は整然と行われました。
週が明けてからは計画停電の影響で短縮授業と弁当持参になった他は、通常通りに学校に通っています。

◆ケース2 保護者によるお迎え制へ
私の同僚の子どもは東京都世田谷区の公立小学校に通っています。学年は3年生です。この子の通っている学校のケースでは、子どもたちだけで集団下校させたことに批判の声が寄せられたそうです。なんでも、子どもを自宅に帰したはいいけれど、電車が止まった影響で保護者は深夜まで帰りつけず、ドアを開けてみるとぐちゃぐちゃになった部屋で子どもだけが留守番をしていた、という状況があったからだそうです。最初から学童保育に行かせていた家庭はよかったのですが、子どもだけによる短時間の留守番を見込んで、保護者が外出していた家庭で、こうした想定外の出来事があったそうです。保護者が帰宅できないような非常時に子どもだけを帰宅させるのはひどいという声を受けて、現在、その小学校では下校時に保護者による子どもの迎えを求めています。
なぜ世田谷では問題になり、さいたまでは問題にならなかったでしょうか。同様のトラブルはさいたま市でもあったかもしれません。けれども、それが大きな問題にはならずにすんだのは、まったくの印象論ですが、さいたま市では自家用車の所有率、三世代同居率、主婦率などの要素が世田谷区よりも高いからかもしれません。そうであれば公共交通機関が乱れても、子どもだけで深夜まで留守番を強いられる、という状況はより少ないでしょう。

こういう異常時には、当り前で、これからもずっと変わらない「現実」と私たちが思っているものが、どういう条件の上に成り立っているのか、それがよく見える気がします。