界隈の神社(6)

senzan2006-06-16

もう一つの氷川神社.(1)で書いた氷川神社を上の宮,ここを下の宮と言って対になっているらしい.上の宮とは対照的に低地にあって,境内の周辺には堀状の池があって亀が大量にいる.ところで,稲荷,八幡,住吉,天神などのナショナルに分布する神社と違って,氷川さんは埼玉,東京に100以上あるけど,その他の地域には数社しかないらしい. 原武史の論文「埼玉の謎」によると,県庁が大宮(つまり武蔵国一ノ宮である氷川神社の在所)ではなく,浦和(中山道の一宿場町)にあるのも,この地域に集中する氷川神社の神学と関係があるとか.氷川神社の祭神はスサノオオオクニヌシで,出雲系の神々.これに対して天皇家はアマテラスなどの伊勢系の神々を祖神としている.王政復古,廃藩置県を図った明治政府が大宮ではなく浦和を選んだのにはそうした神学的な対立があったから,と.この説の当否はともなく,幕末維新期の神道の多様性の一端が示されていて,面白い.

<出雲>という思想 (講談社学術文庫)

<出雲>という思想 (講談社学術文庫)