坊っちゃんの星座

 一昨日星座と交通事故の統計的な関係に関するニュース記事について書きましたが,それの追記.あらためて「星座」「事故」でググったら,そういう調査をするひとが他にもやっぱりいるんですね.しかも警察.

うお座 2月19日〜3月20日生まれ
事故件数が12星座中ワースト1位です。
若い人、高齢の方は特に安全運転を。 郊外の単調な直線道路では、居眠りや脇見運転に充分注意しましょう。 9月、10月、14〜16時、20〜22時、月曜日が弱点です。
http://www.police.pref.hokkaido.jp/info/koutuu/seiza/seiza.htm

 「星占いとは異なります」っていう注記にもかかわらず,体裁はまるっきり星占い感覚の北海道警.
 で,当然ながらこれを学問的に検討しようという人たちもいて,それが『JAPAN SKEPTICS(『超自然現象』を批判的・科学的に究明する会)』の先生方.

 確かに、(徳島県警のデータによると)魚座のドライバーが引き起こした死亡事故件数は最も多いことがわかります。山羊座水瓶座がそれに続きます。しかし、これは統計をとった際の誤差かもしれません。そこで、心理分科委員会では、この種の統計データの分析において最も一般的な方法であるカイ2乗検定を用いて、星座による死亡事故件数の違いは統計的に意味がある(有意である)かどうか、調べてみました。……結論は、「統計的には意味のない違いである」ということになります。 統計的検定は万能ではありません。もし、有意であったとしても、「偶然に生じる確率は小さい(5%)」というだけですから、その結果の公表には慎重を期すべきものです。
http://petat.com/users/skeptics/astrology.html

 というわけで,県警が方法的な検証をへていない調査を公表する姿勢に疑問を呈しているのですが,このサイトによると,検討対象になっている徳島県警や北海道警以外にも,福井,愛媛の県警でも同様の星座論をネットで公表していたようです.警察,ちょっとロマンチックじゃない?
 想像するに,警察がこういう学問的な検証に耐えそうもない調査を公表するのは,それによって交通事故予防への注意を少しでも喚起しよう,という意図があってのことではないか,と思います.なんてことを考えるのは,徳島県警のサイトで「教習所卒業者別の交通事故件数」なるものを発見してしまったから.警察と教習所との人間的なつながりへの悪影響を顧慮することなく発表に踏み切るその姿勢からは,統計的な瑕疵なんかよりも,県民の安全のためになりそうなら後先考えずやっちゃえ,という坊っちゃん的な精神を感じてしまいます.