国宝ローズ

senzan2007-04-09

 お米は「国宝ローズ」というカリフォルニア産の日本米を食べています。これは北米では名の知れた日本米のブランドで、日系一世の国府田敬三郎というひとが試行錯誤の末に米作を成功させ普及させたものだそうです。国府田は1882年に磐城の国(現在の福島県いわき市)に平藩士の子として生まれ、その後師範学校に入り、教職に就くも、渡米の念やみがたく教育視察の名目でサンフランシスコに訪れた1908年に、そのまま居ついたそうです。幕末・維新の時に幕府方についた諸藩の子弟が教員になり、またアメリカに渡るというのは明治国家において周縁に追われたひとたちにわりあいよくあったライフコースです。画像にある「国宝ローズ」のパッケージも、国府田自身がデザインしたものだそうです。パッケージには「國寶」の漢字と、バラをかたどった意匠が描かれていますが、「刀剣」や「勾玉」のようなものも描かれているので、バラにみえるものは「鏡」であり、そのブランド名からも三種の神器をイメージしたものとも想像されます。明治国家からアメリカに脱出した後に太平洋戦争で強制収容所に入れられたひとりの人間があいまいに描いた国体のシンボル。ご飯をいただくたびに、ちょっと複雑な思いにさせられます。

国府田敬三郎の略歴
コーダ・ファーム「創業者の紹介」
コーダ・ファーム「国宝ローズ」など商品一覧