五十回忌
連休中は曾祖父の五十回忌の法事で帰省していました。曾祖父は明治31年(1898年)に生まれ、昭和33年(1958年)に亡くなりました。この人はうちの子どもから見て四代前のご先祖になるので、法事には、よくは承知していないけれども、微妙に顔の似ている遠い親戚や、近所の方々もたくさん集まってくれました。
笙野頼子の小説に『二百回忌』というのがあります。何代も前の先祖がよみがえって来て、生者と死者とが入り混じり、何が何だか分からなくなる奇天烈な話です。年端もいかない子どもにとっては、自分の40倍も生きている人たちと混じっていると、笙野の小説のような幽明界があいまいになるような感覚に襲われるのではないかと想像します(甥っ子は二歳)。またうちの彼女にとっても、三十人を超える参会者が一斉にマントラを唱える光景は秘教的で呪術的な印象があったようです。
五十回忌は弔い上げの法要で、こうした形でこのご先祖を想起することはもうないでしょう。そもそも自身会ったことのない人であり、この日のことも小さい子にとっては将来忘れてしまうかもしれません。それでも、こうしたご先祖がいたからこそ、今の自分や子どもがいるのだと思うと、不思議な気がします。
- 作者: 笙野頼子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/07
- メディア: 文庫
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