裏山の千光寺

senzan2008-01-20

 11月の帰省のときには海の手の城山に登りましたが、正月には裏山にある寺にお参りしました。小さい頃から正月にはよく登っていたお寺で、子どもにとっては二年連続の登山です。
 この山の標高は448メートルで、東日本にあるような山と比べるとけっして高くはありませんが、島の中央に位置する独立峰であるため、島内のどこからでもよく見ることができる美しい姿をしています。山は実家にとっては文字通りの裏山で、家に通じる道をそのまま素直に登っていけば頂上まで歩いて行くことができます。中腹までの登山道は20年くらい前に自治体によって整備されましたが、そこから先は人が踏み固めてきできた昔のままです。大人の足なら1時間超、子どもでも1時間半くらいあれば登頂できます。
 山頂には先光寺という立派な伽藍をもつお寺があります。お寺の縁起は10世紀、真言宗の古刹です。ふもとから歩いて登ってくると、まず境内の外側に東西二つの茶店があります。参拝に来た客のほとんどが帰りにここに立ち寄って休憩したり、土産を求めたりします。名物はあんころ餅と羊羹で、座敷にあがってうどんや田楽などの軽食をいただくこともできます。けれども、東側の店は何年も前に店を閉めてしまい、今では西茶屋のみの営業となってしまいました。
 お寺の境内は四層構造になっていて、茶店のあるレヴェルを一層目とすると、急傾斜の階段を上った二層目に寺務所、三層目に展望台、四層目に本堂や三重塔などがあります。二層目の庭にはそこで餅を焼いて食べると無病息災になるという炉が地面に掘られています。三層目につづく階段は阪神大震災のときに一部が崩れてしまいました。展望台からは鳴門海峡や瀬戸内海を望見することができます。四層目にいたる階段を登ると山門があって、右手に三重塔、左手に鐘楼、正面に本堂があります。ご本尊は千手観音で、「狛犬」の像はイノシシなので狛猪です。本堂の裏には六角堂という閻魔様を置いたお堂があり、三十五日の法事の際はそこに籠もった後、おにぎりを後ろ向きに山の斜面にころがしたりします。境内には寄進者の名前と住所を記した石碑がその金額に比例したサイズで並んでいて、三洋電機創業家の名前なども見つけることができます。
 今回の登山ではふもとから反時計回りで茶店前までつづく道路を使って、自動車で登りました。道路は一車線なので、対向車があるときにはペーパードライバーにはしんどいコースになります。年々参拝客が減っているとは聞きましたが、それでも何台もの車とすれ違いましたし、正月3日にしてはにぎわっていました。
 小学生の頃になぜか放課後(!)にお寺まで登るというのがブームになったことがあります。友達何人かと三百円くらいの小遣いをもってお参りし、茶店で駄菓子とジュースを買ってくつろいだあと駆け足で帰ってくる、というのを毎週くらい続けました。登りには1時間以上かかりましたが、下りは10分程度で戻ってくるので相当なスピードです。忍法壁歩きや黒い三連星などのごっこ遊びをしながらの下り坂で、けが一つしなかったのは田舎育ちだったせいでしょうか。なんにしても、それほどなじみのある山です。