雪の脅威

 うちの彼女は雪がめずらしくない地方の出身なので、関東で雪が降り、交通機関が乱れ、けが人がでるたびに、関東人の雪に対する脆弱性を哀れんでいます。けれども、まさかその対象に自分がなるとは思っていませんでした。
 3日に積雪があって雪だるまを作ったことは書きましたが、その翌日の朝、自転車で子どもを保育園に連れて行く途中、凍結した路面にハンドルをとられて横転してしまいました。左45度に自転車が傾いて、あ、こりゃひっくりかえると思った時にはもう手遅れで、横倒しになったまま道路を数メートル滑走しました。幸い、子どもも自分も頭を打ったりはしなかったのですが、彼は脚に軽い打ち身、自分は胸を強く打つけがをしてしまいました。
 その後、子どもはけろっとして、雪融けの園庭でどろだらけになって遊び、夕方には「今日は4回も転んだ!」などと快闊に帰宅してきましたが、自分の方は、胸の痛みがとれず、思うように身体が動かせなくて四苦八苦しました。咳をすると胸の骨が折れるんじゃないかというような近代文学的な痛みが走るので、笑ったりすることもままなりません。そんなときに限って、彼女がわざと滑稽なことをいって笑わせようとするので、昨日、今日は苦悶の表情を浮かべながら笑う羽目になりました。