お年玉の経済学

子どもの小学校入学に際して各方面からお祝いをいただきました。
ありがたいことです。
こうした親族知人からのお祝い金は、一時に集中して多額の支出が強いられるイベントのときには本当に助かります。
人生における予測可能な出来事、したがってある程度準備できるような出来事(たとえば進学や結婚)でさえ、そうです。
いわんや、病気や災害、死亡などの予測困難な出来事に対処するとき、近代的な福祉政策や保険制度ができる以前の世界において、親戚関係は頼もしい相互扶助システムだったはずです。
この観点からすると、お年玉というのは実に理にかなった仕組みのように思います。
お年玉は、保険制度でいうところの給付金ではなく、保険料に当たります。
子どもたちは互いの叔父叔母から交差してお年玉をもらうことで、この親族集団への帰属感を強く持つようになり、将来において従兄弟同士で扶助し合うような共済関係に参加することになります。
小さい頃は、もらったお金の出所が結局自分の親なのだから、お年玉というのはなんと迂遠なキャッシュ・フローなのだろう、と思っていました。
けれども、今ではこれが世代を超えてリスクを分散させるための保険制度であることがよく分かります。
ひとはあげたことは忘れないのに、もらったことは忘れやすいものです。
ひとじゃなくても、社会保険庁の機関もそうでした。
だから我が家では贈答の一切は一つノートに記録するようにしています。