保護者の高学歴化

最近では学校の教員よりも保護者の方が学歴が高いことは珍しくなくなりました。
私の両親は高卒ですが、当時の大学進学率は15%くらいなので、最終学歴が高卒の方がずっと多数派でした。
当然、大卒でないとなれない教員には社会的な威信がありました。
例えば、私の育ったところでは学校の教員は地域社会でも「ホウジョウ先生」とか「ニイ先生」といふうに「先生」付けで呼ばれていました。
これに対して現在の大学進学率は40%を超え、大学院進学率も10%程度です。こうした世代が子どもを育て、学校に入れるようになると、保護者の高学歴化が進みます。(文部科学省調べ)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/008/toushin/030301/07.htm
たぶん学級崩壊やモンスターペアレントが近年社会問題化している背景には、保護者の高学歴化も一因としてあるような気がします。もう教員は地位に伴う威信をもっていません。子どもや保護者たちから無条件に敬意を期待することはできないでしょう。親の方が教員より学歴が高く、教員のことを軽く見てしまうと、子どもたちもこれに倣ってしまいます。
また新米の教員が教壇デビューで苦労する理由もよく分かります。
教員の威信はその身分ではなく業績に、「何であるか」でなく「何をするか」により多く由来するようになりました。こうなると経験豊かな先生の方が信頼されやすいのも当然です。
学校教員の休職率やカウンセリングに通う割合が増えているのには、こうした社会環境の変化があるのでしょう。サービスの内容はたいして変わっていなくても、顧客の方はかなり変わってしまいました。というか、「顧客化」したことそれ自体が最大の変化かもしれません。
教育は学校だけの責任ではありません。保護者も、そして子どもでさえも、教員がその仕事を喜びをもって遂行できるよう、その仕事を応援していく必要があると思います。(出典を追記、2009/05/14)