樋抜き

senzan2009-06-13

ため池から一斉に放水して、それぞれの田んぼに水を導くことを「樋抜き」と言います。これは実家のあたりの農家にとっては1年のうちでも屈指のイベントで、家族、集落総出で作業に当たります。
香川の満濃池でもやはり6月の中旬に「ゆるぬき」といって同様の行事を行うそうです。
http://www-gis2.nies.go.jp/oto/data/scene/index.asp?info=82
樋抜きは代かきのために行います。代かきとは、田植えの下準備として、田んぼに水を入れ、トラクターなどで土と水を攪拌し、水田を作ることです。ため池の水は貴重な資源なので、地域共同体の管理の下、樋抜きからそれぞれの田んぼへの導水が進められます。この際、何人かの熟練の管理人が地域を巡回して、適宜、田んぼの取排水の調節をしたり、代かきを行っている各人に作業の順番やペースに関して指示を出したりします。
これら一連の作業をこなすために農家の人たちは早朝の5時頃から活動を始め、日が暮れる7時近くまで働きます。共同体的な作業であるため個人の勝手な行動は許されませんし、また田植えにはタイミングはありますからのろのろやるわけにもいきません。
こした理由で樋抜きは農家にとって大きなイベントになっています。また他方でこういう作業の存在が、農業への新規参入を阻む非経済的障壁にもなっているのだと思います。