田植え

代かきから数日後、いよいよ田植えが始まります。
かつては人間の手でひとつひとつ植えていたようですが、私が子どもの頃にはすでに機械化されていました。もっとも、今でも田植え機の入らないような場所では、最終的には人力が頼りです。
今回の帰省では樋抜きの当日だったため、本格的な田植えは行いませんでした。代かきしたばかりでは水田土壌が安定しておらず、稲の苗が根付かないためです。けれども、折角の機会なので、子どもには手で少しだけ植えさせてもらうことにしました。
からして農業などきちんとやったことがありません。ましてや郊外育ちの子どもには見よう見まねが精一杯です。腰を落としすぎておしりのパンツをまっくろにしたり、はねた泥が顔に点々とついていたり、悪戦苦闘しましたが、それでもお米づくりに少しでも参加できた満足感はあったようです。彼が植えた分を指して、私の母親が「これでご飯一杯分、これで一合」などと言ってくれたので、ニコニコしていました。
昨年は、春に育苗箱に種籾を入れる作業を、秋に稲刈りを体験しました。今回の田植えと併せて、これで米づくりに関する節目は一通り体験したことになります。普段のメンテナンスにはまったくの無関与ではありますが、それでも毎日食べているお米がつくられるプロセスを垣間見ることで、食べ物が餌のように上から降ってくるものではなく、その向こう側にある作り手や莫大な手間があってできているものだ、ということに子どもが思いをはせてくれるようになれば、と思います。