脳死臓器移植法案における投票行動

昨日、脳死臓器移植に関する法律の改正案(A案)が衆議院を通過しました。この法案では、脳死を人の死とし、本人に拒否の意思がなければ家族の同意によって、0歳からでも臓器提供ができる、というものです。
共産党は欠席しましたが、その他の各党は党議拘束をかけなかったため、議員それぞれの判断で投票したようです。そのため普段は明瞭ではない、議員個人のもの考え方や信念がある程度まで反映されていて、非常に興味深い事例となりました。読売新聞や産経新聞のウェブサイトでは議員の投票行動が一覧になっていて、裨益するところ大です。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090618-OYT1T00848.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090618/stt0906181936011-n1.htm
これらのデータから、著名な政治家の投票行動を見てみましょう。
まず首相経験者では、海部、羽田、森、小泉、福田前首相はこの法案に賛成しました。これに対して、麻生首相は反対、安部元首相は棄権しました。
民主党の代表経験者では、小沢、岡田、菅元代表らは賛成しました。これに対して、鳩山、前原元代表は反対しました。ちなみに兄の鳩山由紀夫民主党代表は反対ですが、実弟鳩山邦夫総務相は賛成でした。兄弟というと、石原家の信晃は棄権・欠席、宏高は反対でした。
社民党の7名は全員反対し、公明党は賛成12名、反対18名、棄権・欠席が1名でした。
医者出身の国会議員では、自民党中山太郎清水鴻一郎、富岡勉、三ツ林隆志公明党坂口力福島豊が賛成、自民党鴨下一郎社民党阿部知子が反対でした。中山の甥である中山泰秀は反対でした。
もちろんこの法案に対する態度だけで、国会議員の価値観のすべてが理解できるわけではないでしょう。また、このA案に反対した場合でも、C案に賛成するつもりだったのか、それともD案に賛成するつもりだったのかでは、全然意味が違うでしょう。
それでも、なお、党議拘束のかかった状態での投票行動では見えてこない、議員個人の「顔」がうかがえるのはエキサイティングです。
ワシントン・ポスト紙には連邦議会の投票行動のデータベースがありますが、日本にも同様のものがあれば、どれだけ選挙においてためになるか、と思わずにいられません。
(リンク訂正、2009/6/20)