天皇のカナダ訪問

senzan2009-07-02

明日から日本の天皇、皇后がカナダとハワイを訪問します。
7月3日から17日まで2週間の予定ですから、結構な長旅です。両名とも体調が万全ではないそうなので、無事に旅程を終えられるのか心配されるところです。
さて、天皇の訪加は国事行為にあたるので、内閣の承認が必要です。そのための閣議決定が今年の3月13日にあり、詳しいスケジュールが6月12日に内閣官房長官から発表されました。
以下に宮内庁のウェブサイトにあるその内容を引用します。

7月3日(金) 東京 御発
 オタワ(オンタリオ州) 御着(カナダ国)
 ポンティアックケベック州) 御着
7月4日(土) 同地御滞在
7月5日(日) オタワ 御着
7月6日(月) 同地御滞在
7月7日(火) 同地御滞在
7月8日(水) トロントオンタリオ州) 御着
7月9日(木) 同地御滞在
7月10日(金) バンクーバーブリティッシュ・コロンビア州) 御着
 ビクトリア(ブリティッシュ・コロンビア州) 御着
7月11日(土) 同地御滞在
7月12日(日) バンクーバー 御着
7月13日(月) 同地御滞在
7月14日(火) 同地 御発
 ホノルル(ハワイ州オアフ島) 御着(アメリカ合衆国
7月15日(水) 同地御滞在
7月16日(木) コナ(ハワイ州ワイ島) 御着
 同地 御発
7月17日(金) 東京 御着
http://www.kunaicho.go.jp/activity/gonittei/01/gaikoku/h21northamerica/eev-h21-northamerica.html#D0612

そもそも今回の訪加の趣旨は、日本とカナダの修好80周年を記念することにあります。またカナダは天皇が56年前に初めて訪問した外国でありながら、即位後には唯一訪問していないG7構成国でした。
7月3日に東京を出発し、同じ3日にオタワに到着します。夏時間で13時間の時差があるので、公式行事がある6日までは時差調整をするそうです。オタワの空港から市街地までは8キロくらい、そこから30キロほど離れたポンティアックで静養するようです。ポンティアックは、オタワとは川を挟んで北側にあるケベック州の田園地域です。
7月6日にはミカエル・ジャン総督主催による公式歓迎行事に出席します。ジャンは、クラークソンから2代続く、有色の女性総督です。彼女の紋章はハイチ出身であることを表象してマーメイドが採用されています。
その他、オタワでは日加修好の記念式典や大学で日本研究をしている学生と引見する予定です。一昔前までは日本研究というと政治学部や経済学部が中心でしたが、最近では人類学部やアジア学部に先祖帰りする傾向があります。そこなら日本のサブカルチャーが勉強できるからで、つまりオタク的な動機から日本に関心をもつ学生が増えたということなのでしょう。
7月8日からはトロントに移動し、日系カナダ人とも交流するそうです。アメリカやブラジルの100万というオーダーと比べると、7万から8万人のカナダの日系人は微々たるものです。それでもG8中では2番目に多いわけですから、日本外交にとって重要な人的資源なのでしょう。近年外務省は指導的な地位にある日系人との関係構築に積極的なようです。この点にも天皇訪加の意義があるのでしょう。
7月10日にはバンクーバーにやってきます。来年はこの地で冬季オリンピックが開催されます。またバンクーバーはかつて大圏コースをとる太平洋航路で起点となった港であり、横浜、神戸とは定期便が就航していました。日本にとっても歴史的に結びつきの強い街です。
7月のBC州はほとんど地上の楽園とも言える季節です。からりと晴れた日が続き、暑すぎず寒すぎず、しかも夜8時を過ぎてもまだ明るいので、仕事が終わった後でもスポーツを楽しんだり、庭でまったりとビールを楽しんだりすることができます。今日の報道によると、天皇不在中に衆議院の解散をするわけにはいかないという主旨の発言を町村信孝がしていましたが、麻生首相の胸中はともかく、両陛下にとってはベストシーズンの訪加だと思います。
現在の天皇は帝国時代に外地を訪れた経験はないはずです。平和条約発効後にカナダに上陸し、鉄道で4晩3日かけて大陸横断したときには、さぞ異国らしさを感じられたことでしょう。今回の訪加は懐旧の情の強いものになると思います。
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/gaikoku/gaikoku-h21-northamerica.html
(一部文字を修正、2009/07/03)