ツバメの巣

senzan2009-06-27

実家の長屋の一階部分にツバメが巣を作っていました。
ツバメは渡り鳥で、この季節になると日本各地で子育てをする姿が見られます。彼らは人家の軒下などに水田の泥で巣を作ります。ツバメは人間社会と共生することを選んだ生き物の一つです。
さいたまの方でも児童クラブの非常階段の下にツバメが巣を作っています。このへんにも結構水田はありますが、巣の材料をみるとビニールの紐を使ったりしていて、巣作りも簡単ではないようです。

イモ掘り

senzan2009-06-24

先日帰省した折にジャガイモを掘ってきました。
使いなれないシャベルに振り回されて、汗が噴き出ました。掘るのが浅いとイモを傷つけ、深いと土が重くなり、加減を身につけるまで何個もイモを切断してしまいました。
結局掘り出したイモは、大小あわせて7,800個くらいでしょうか。

オバマは広島にやってくるか?

バラク・オバマアメリカの大統領に就任してから半年近くなります。
この間、内政ではヒスパニック系初の最高裁判事の指名、GMの破綻処理を手掛けてきました。他方で、外交ではグアンタナモの収容施設の閉鎖、キューバに対するOASの門戸開放の他に、4月にプラハで、6月にはカイロで、注目すべき演説を行っています。
識者の指摘する通り、プラハ演説もカイロ演説も歴史的な意義をもっています。プラハはかつて冷戦の最前線であり、カイロは今も文明の衝突の中心の一つです。オバマプラハ核兵器廃絶の理想を高々と掲げ、カイロでは文明の対話を身をもって実践しました。ヨーロッパ、中東と歴訪したオバマは、それではアジアではどこで演説するのでしょうか。

参照:吉崎達彦「カイロ演説とソフトパワー外交」2009年6月12日
http://tameike.net/pdfs8/tame419.PDF

プラハ、カイロ、あるいはシカゴ(勝利演説)、ワシントン(就任演説)といったトポス(象徴的な意味をもった場所)を利用してきた履歴を考えると、アジアでの演説の地として「ヒロシマ」を選択することは十分ありえます。すでにオバマ大統領の手帳には今秋の訪日が書き込まれています。そこでかりに広島演説が実現したら、それにはどのような意味があるのでしょうか。
第一にこの地上から核兵器を廃絶するという理想を語る上で、これ以上ふさわしい場所はないということです。広島は世界で初めて核兵器が使用されたところです。それはオバマ外交に特別な説得力を与えるでしょう。ヨーロッパ、中東ときて、アジアのこの地で演説すれば、それは文明論的な響きさえ獲得するでしょう。
第二に、それは日本の市民に対して一定の責任を果たすことになるでしょう。明確な謝罪はなくても、広島の平和記念公園を訪問し、核兵器の廃絶を訴えるアメリカの大統領の姿は、今なお原爆の後遺症に苦しむ人たちに一定の慰藉を与えるのではないでしょうか。もちろん日本の国民世論はオバマの演説を熱烈に支持するはずです。
第三に、この演説はアメリカの退役軍人から強い反発を受けることになるしょう。終戦50周年を記念したスミソニアン博物館のエノラ・ゲイ展の企画は退役軍人による強い反発を招きました。アメリカの正史において、原爆は戦争を早く終わらせ、その分だけアメリカ人の生命を多く救った正義の兵器です。これを否定する言辞には退役軍人らからの非難が寄せられるはずです。
第四に、しかしながら、こうした反発と引き換えに、この演説は日本の歴史修正主義者や軍事的タカ派を牽制することになるでしょう。リビジョニストは、日本の戦争犯罪を指弾し、アメリカの原爆投下を無視した東京裁判を「勝者の裁き」として批判します。オバマが原爆投下の非を認めれば、彼らはもう「どっちもどっち」の論理は使えなくなります。また日本の核武装を主張する軍事的タカ派も勢いを殺がれることになるでしょう。
第五に北朝鮮の核開発に対してプレッシャーを与えることになるでしょう。日本のタカ派に勢いがあるのは、北朝鮮瀬戸際外交のせいです。北朝鮮の一理あるとしたら、それは大国だけが核兵器保有し、その他の中小国には認めないという核の不平等体制があるからです。これを改革するならば、オバマ北朝鮮に対する道義的な優越を手に入れられるでしょう。
第六にこの演説のアジェンダ・セッティング(話題の優先順位付け)によって、日本の世論は拉致問題偏重の姿勢を改め、核開発阻止のための柔軟な方策にも理解を示すようになるかもしれません。そもそもカイロ演説も、イランの核開発を阻止するための政治的資源を中東諸国から獲得する、という狙いを秘めていました。同じように、日本の世論の理解が得られれば、それだけ硬軟多様なオプションを北朝鮮に提示することができるでしょう。
もちろんオバマが広島を訪問するかどうかは不明です。よって以上の意味づけもあくまで仮定の話です。アメリカのテレビ・ドラマ『ウェスト・ウィング』(邦題、ザ・ホワイトハウス)が民主党員のファンタジーと揶揄されたように、以上の想像も、左派的な日本人の願望なのかもしれません。
いずれにしても、今秋になれば分かることです。もしオバマが広島を訪れ、そして上述のような意味をもつ演説を行えば、たぶん日本の歴史的な経験はもっとグローバルなものになるはずです。手塚治虫藤子不二雄宮崎駿らを生みだした戦後の日本文化はもっと適切な文脈で世界で理解されるようになるのではいでしょうか。

脳死臓器移植法案における投票行動

昨日、脳死臓器移植に関する法律の改正案(A案)が衆議院を通過しました。この法案では、脳死を人の死とし、本人に拒否の意思がなければ家族の同意によって、0歳からでも臓器提供ができる、というものです。
共産党は欠席しましたが、その他の各党は党議拘束をかけなかったため、議員それぞれの判断で投票したようです。そのため普段は明瞭ではない、議員個人のもの考え方や信念がある程度まで反映されていて、非常に興味深い事例となりました。読売新聞や産経新聞のウェブサイトでは議員の投票行動が一覧になっていて、裨益するところ大です。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090618-OYT1T00848.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090618/stt0906181936011-n1.htm
これらのデータから、著名な政治家の投票行動を見てみましょう。
まず首相経験者では、海部、羽田、森、小泉、福田前首相はこの法案に賛成しました。これに対して、麻生首相は反対、安部元首相は棄権しました。
民主党の代表経験者では、小沢、岡田、菅元代表らは賛成しました。これに対して、鳩山、前原元代表は反対しました。ちなみに兄の鳩山由紀夫民主党代表は反対ですが、実弟鳩山邦夫総務相は賛成でした。兄弟というと、石原家の信晃は棄権・欠席、宏高は反対でした。
社民党の7名は全員反対し、公明党は賛成12名、反対18名、棄権・欠席が1名でした。
医者出身の国会議員では、自民党中山太郎清水鴻一郎、富岡勉、三ツ林隆志公明党坂口力福島豊が賛成、自民党鴨下一郎社民党阿部知子が反対でした。中山の甥である中山泰秀は反対でした。
もちろんこの法案に対する態度だけで、国会議員の価値観のすべてが理解できるわけではないでしょう。また、このA案に反対した場合でも、C案に賛成するつもりだったのか、それともD案に賛成するつもりだったのかでは、全然意味が違うでしょう。
それでも、なお、党議拘束のかかった状態での投票行動では見えてこない、議員個人の「顔」がうかがえるのはエキサイティングです。
ワシントン・ポスト紙には連邦議会の投票行動のデータベースがありますが、日本にも同様のものがあれば、どれだけ選挙においてためになるか、と思わずにいられません。
(リンク訂正、2009/6/20)

河合幹雄『日本の殺人』2009

河合幹雄の新刊『日本の殺人』(ちくま新書)を読みました。
非常に興味深いデータとエピソードが数多く紹介されていて、このテーマを考える上でまずは最低限の知識を提供してくれるものだと思います。
本書で紹介されている数字や事例には次のようなものがあります。
・日本の殺人事件は最近では毎年800件くらいである。
・その半分くらいは家庭内での殺人であり、その次に多いのがケンカ殺人である。
・やくざは脅迫が稼業であり、殺しはしないものである。
・被害者に何の落ち度もないような、通り魔殺人は年間1桁しかない。
・戦後犯罪件数は総じて減少している。
・その理由には、日本人が豊かになった、家族が同居しなくなった、酒の飲み方が変わった、やくざに厳しくなった、などが指摘される。
・凶悪事件が「相次いでいる」と報道されるとき、実際には「増加しているとは言えない」を遠回しに表現しているだけである。
・ただし、死刑を結論するのに必要以上の犯罪は裁判では省略される。そのためデータに表れない犯罪もある。
・精神異常の場合、その程度が強いと犯罪はやらない。酩酊の度合いが強いと動けないのと同様である。
・刑務所は初犯・累犯、短期・長期の組み合わせで、4つのタイプ別に受刑者を受け入れている。
・出所者の更生率は諸外国に対して冠たるものがある。
・その理由には前科者に過酷な「世間」と、更生を支援する「保護司」の組み合わせが機能してきたからである。
・しかし、近年は世間の匿名化が進み、保護司も高齢化しているので、従来通りにはいかないだろう。
・殺人の半分が家庭内で起きているから、被害者家族=加害者でもある。この場合、当然、犯罪被害者給付金は支払われない。ケンカ殺人の場合も同様である。
著者の語り口はときに毒舌すれすれで、犯罪者に対して容赦ない評価を下していますが、実際のところその立場は穏健なものだと思います。たぶん「人権派弁護士」が、裁判所・検察の不透明な厳罰化を批判したり、精神異常者の「危険性」を否定したり、犯罪者の更生可能性を尊重したりするよりは、ある種のひとたちには抗しがたい説得力があるんじゃないでしょうか。

日本の殺人 (ちくま新書)

日本の殺人 (ちくま新書)

神戸・羽田の飛行ルート

senzan2009-06-17

先日の帰省では東京・神戸間を飛行機で往復しました。子どもの学校の都合により金曜夕方に出発するしかなく、新幹線より早く着く飛行機を選んだためです。
往路は、座席の場所と夕暮れ時だったこともあり、本州のどの部分を飛んでいるのか把握することができませんでした。座席は、最後尾の右側の席でしたが、窓際に子どもを座らせたため、景色はよく見えませんでした。
これに対して復路は、昼間出発で、窓際の席に座ったので外の様子がよく見えました。子どもはiPodで映画を見るのに忙しく、窓際である必然性がなかったので、私と席替えさせました。ちなみにその隣に座っていたのは、赤ちゃんを抱いた中年の女性でした。もう一人の子どもを連れたそのひとの娘と、併せて4人連れだったようです。
神戸空港を15時20分に羽田には16時35分に到着しました。当日の天気は晴れ。神戸空港を利用するのは通算4度目ですが、飛行ルートをきちんと把握できたのは今回が初めてです。
まず神戸空港から東に向かって離陸します。が、すぐに機首を右に旋回して、一路、西に向かいます。大坂方面には伊丹や関西空港があり、その飛行ルートと衝突するのを避けるための措置のようです。飛行機は高度を上げながら西に向かいます。右手の眼下には播磨地域の工業地帯がよく見えます。
それから再び機首を右旋回させ、東に針路をとります。この頃には相当の高度なので、他の空港へのアプローチとぶつからないのでしょう。六甲山の北側を通過し、右手に神戸の街並みを見下ろします(画像参照)。大阪上空を通過し、梅田や大阪城もはっきりと視認できました。生駒山系、奈良盆地を通過し、志摩半島まであっというまです。天気に恵まれたため、伊勢志摩のリアス式海岸や、神島、渥美半島とつづく一連の中央構造線の様子が一目瞭然でした。
その後、太平洋岸をかすめながら、房総半島の上空まで来たところで左に旋回します。ここで羽田空港に北側から進入するために、角度でいうとだいたい270度くらいの大周りをします。右手に千葉のコンビナート、浦安のディズニーランド、お台場のテレビ局を順々に見ながら、滑らかに空港に着陸することができました。天気がよく、都心はもとより、遠く富士山も見渡せました。それにしても、日頃、埼京線の高架から富士山を見ているくせに、それでも富士山を見ないと東海道を通った気がしないのはなぜでしょう。
さて、うちの子どもはというと、これほどまでにエキサイティングな空の眺めにもかかわらず、実に恬淡としていました。理由は、酔い止めのために与えたiPodのせいです。私と同様、車にも船にもひどく酔うたちなので、気散じさせるためにとときどき貸すようにしています。おかげで飛行機酔い、新幹線酔いはまったくしなくなりましたが、風景や会話への関心がなくなってしまったのはちょっと残念です。

川遊び

senzan2009-06-16

近くを流れる小川でも遊びました。
この小川も30年前まではまだ砂礫も水草もある、遊びがいのある川でした。けれども、その後、近くに自動車道路が建設され、また2004年の台風23号の被害を受けた結果、すっかりコンクリートで護岸されてしまいました。
それでもなお、垂れ流しの生活排水で遺伝子組換えされた昭和的ミュータントが棲息していそうなさいたま辺りのどぶ川や、立派なゴルフ場と野球場はあるけれども、水難事故の管理責任は負いかねるから非親水的な設計にしましたというていの荒川に比べると、はるかに遊べる川ではあります。いくつかその様子をみておきましょう。
・生活排水が入っていないため、ほとんど汚染されていない。
・流量が少なく、一定であるため、川に入ってもあまり危険ではない。
・岸から川まであまり高くないため、アクセスがよい。
・コンクリート護岸・川底のため生き物はほとんどいない。
コンクリートの川底でも素足で歩くのはそれはそれで気持ちのいいものです。農家の高齢化が進み、赤字続きの経営状況では、とにかく金のかからない治水が優先されてしまうのも、仕方がないのでしょう。
日本の農家は持ち出しばかりで、この仕事はもはや市場価値では割り切れません。すでに十分に文化的で、エコロジカルーで、安全保障的な価値にコミットしている日本の農家に対して、護岸のコンクリ化を非難することは酷なように思います。