memo
「ラノベかと思った」とは、あるひとの弁。新書のわりには400頁を超えるボリュームをもつ本書は、学界ですでに決定版として評価されている前著『東京裁判の国際関係』(2002年)を圧縮し、そのエッセンスを伝えたものである。 本書の特色は、東京裁判に関す…
なぜまだ起きていないのか不思議なくらいだ、と評されるパンデミック。本書は、世界規模での大量死をひきおこしかねないトリインフルエンザの流行に警鐘を鳴らす本である。 予想される新型インフルエンザ(H5N1型)は毒性が強く、感染しやすい上、ワクチンの…
イギリス外交史の俊英になる本書は、古代から今日までの「外交」観念と技術の歴史を叙述しつつ、現代世界における「外交」の可能性を探った著作である。本書は、外交学の入門として簡明であるとともに、確信せるヨーロッパ中心主義の主張である点で、興味深…
先月のカンザスでの演説においてブッシュ大統領は、アメリカが民主主義のために海外に関与することに対してなされる批判について、まったく無自覚だったわけではない。 rfts - ブッシュのウィルソン主義
かつて日本人はアルカイダのような狂信者だった。そう言い放ったのは、アメリカのブッシュ大統領である。先月、カンザスで開かれた海外派兵退役軍人全国大会でブッシュ大統領は、戦前の日本が国家神道と軍国主義に支配された社会であったにもかかわらず、そ…
イギリスの大学新卒者が最も多く就職するところは? 答えは日本の公立校である。日本政府はJETプログラムを通してここ10年つづけて700人を超えるイギリスの大卒者を地方の公立中・高校で採用している。現在、30代前半よりも若い世代で、地方の公立校出身者な…
朝日新聞の読書欄で柄谷行人が『資本主義に徳はあるか』という新書本について書評していたのを読んで,ちょっと雑感(以下に言及する著作はすべて今手元にない状況なので,記憶に頼って書いています.確認すれば避けられるような勘違いや誤解がありうること…
最近のエントリーと関係する面白い本を読んだので、個人的に関心をもった部分を書きとめておく。著者はワシントン州立大学地理学科の教授である。Crossing the Neoliberal Line: Pacific Rim Migration and the Metropolis (Place, Culture, and Politics)作…
著者の専門はアメリカ外交で,学界の要職を歴任した世界的な歴史家である.著者はマルチアーカイバルな手法を早くに採用したことでも知られるが,史料の超域性がトランスナショナルな視点と結びついていない研究が少なくないなかで,その視野の広さにおいて…
著者の専門は日本外交史で,この分野の通史が書ける数少ない歴史家として知られる.本書の始まりはライシャワー大使の役割を検討した30年前の論文に遡るという.以来,折に触れ研究を積み重ねてきた成果が,R.マーフィーからH.ベーカーにいたる戦後の13人の…
著者の専門は日本政治外交史であるが,こういう分野の伝統は日本特有であるという(酒井哲哉の議論).欧米であれば内政を扱う政治史と,対外関係を扱う外交史とは独立しており,内政と外交を両睨みしてその相互作用を見るような研究はむしろ近年のものである…
著者は日本を代表する日本外交史の専門家であり,優れた後進を育てる伯楽でもある.本書は「米国の占領政策が戦後日本史にどのような意味を持ったかを鳥瞰しよう」(p.281)という企図のもと,アメリカの対日戦後計画の立案からサンフランシスコ講和条約締結ま…
本書は9/11後の日本におけるアメリカ研究の出色として知られる.その目的は「20世紀アメリカ合衆国の国民国家としての特質を,その建国以来の発展の歴史的文脈にさかのぼってあきらかにすること」(p.?)にある.著者はこうした主題に対して統治原理(ポピュリ…
本書は日本における「アメリカ=帝国」論の先駆的にして代表的な研究として有名である(1968年刊行).本書はアメリカ史の全体を帝国の形成,発展,崩壊の歴史として叙述することを企図して書かれた.その目的は「ヴェトナム侵略を原点としてアメリカ外交の基…
著者はアメリカ研究を学問として確立し,認知させた第一人者で,昨年文化勲章も受章している.本書が出版されたのは40年以上前であるが,そのアメリカ外交の把握の仕方(例えば「信条の帝国」p.65)は現在でも通用しうるし,またその特質をアメリカ的風土か…
先月触れた岩波新書のリニューアル第一弾の一冊.エピグラフに引用されたニーチェの「怪物と戦う者は,そのために自身が怪物とならぬよう気をつけるべきである」が著者のいう立憲主義の考え方をよく伝えていて印象的.その上で感想を二,三.
社会科学の語りには、大きく分けて「記述」「記述的推論」「説明的推論」の三段階があって、後者ほどより高次に科学的であると考えられている。「記述」というのは、例えば「景気がよくなっている」とか「国民は自民党を支持している」といった社会の出来事…
近年のアメリカ外交の変質と存在感の高まりを受けて,これをテーマにした著作が岩波新書から立て続けに出ている.藤原帰一『デモクラシーの帝国』(2002),古矢旬『アメリカ 過去と現在の間』(2002),西崎文子『アメリカ外交とは何か』(2004).著者らが示し合…
もう一つメモ.というか,こっちが最初に書こうとしたこと.「アメリカは中東の民主化を謳ってるけど,実は石油目当てでしょ」というネタばらしは難しく言うとイデオロギー暴露とか,理念の脱構築ということになる.こういう脱構築は,政府の掲げる理想とか…
今日の研究会中に考えたことをメモしておく.「臆面なき帝国主義者」M.ブートがジョージ・クルーニーについて”Best supporting neocon”と評価している.彼が今年アカデミー助演賞(Best supporting actor)をとった『シリアナ』は中東の石油利権をめぐってアメ…
少し長いけどメモってことで.『モローラ』の感想のときに言及したハーグのICCはミロシェビッチの死によって,「ジャスティスをなすことができなくなった」.失敗は訴因を広くしすぎたからで,この教訓からフセイン裁判ではもっと「穏当」になっているという…
ライス米国務長官がインドネシアを訪問.人権程度の低さから中止していた軍事援助を再開し,経済・文化面の支援を強化すると発表.笑ったのが記事の最後. Television cameras recorded the event for Indonesian audiences as she shook hands with an acto…
中国がアメリカの発表した人権レポートに反論した,という記事.他人のことをとやかく言える身分か,と. BEIJING, March 9 — China today criticized the human rights record of the United States, arguing that racial discrimination remained pervasiv…
原子力開発をめぐる米印間の取り引きが論争をよんでいる.NPTに参加していないインドの核開発を特別扱いすることは,イランや北朝鮮の核開発を批判するアメリカの二重基準を浮き彫りにする.また米印が手を結んで,成長著しい中国を封じ込めようとする一歩で…
The Foreign Service remains trapped in a framework straight out of the 19th century, producing diplomats whose primary skill is liaison work with other diplomats. That leaves Foggy Bottom woefully ill-equipped to deal with two particularly…
WASHINGTON, Feb. 20 — In a seven-year-old secret program at the National Archives, intelligence agencies have been removing from public access thousands of historical documents that were available for years, including some already publishe…
今日のNY Timesにアメリカ政府がイラク関係の情報を歪曲していたことを批判する記事が出ている*1. Ex-C.I.A. Official Says Iraq Data Was Distorted WASHINGTON, Feb. 10 — A C.I.A. veteran who oversaw intelligence assessments about the Middle East …